ダイヤモンド選びは「4C」だけ見ればいいの?掘り出し物を見つける時に注意すべきこと|宝石の見分け方★ダイヤモンド編

ダイヤモンドの品質評価

ダイヤモンドの品質といえば、4C(カット、カラー、カラット、クラリティー)を思い浮かべるのではないでしょうか?
そして、実際その4Cがダイヤモンドを評価し、ダイヤモンドの価格を決めています
しかし、それは既にに鑑別書もあるような高価なダイヤモンドの話です。確実な品質と信頼のできる高級店に並んでいるダイヤはとても高いですね。もしかしたら海外旅行をよくする人や、冒険好きな人はオークションや海外のジェムセンター、ミネラルショーなどで掘り出し物を探すのが好きな方も多いかもしれません。

が、その時に気をつけるべきことは、ダイヤモンドの4Cだけではありません
高級店に並ぶダイヤモンドとしては初めから除外されているような質の悪いダイヤモンドが、しれっと質の良いダイヤモンドのように扱われて売られてしまっていることも否定できません。もしくは、ラウンドブリリアントカットにされたガラスやキュービックジルコニア、合成モアッサナイトがあたかも本物のダイヤモンドとして売られている場合もあるかもしれません。

この記事では、いわゆる「天然ダイヤモンドの偽物」や「品質を落とす処理をされたダイヤモンド」について解説し、どのようにそれらを見分けるかを解説していきます。自身の目利きで素敵な掘り出しダイヤモンドを買いたい!とお考えの方の参考になりますと幸いです。

宝石の基礎知識

ダイヤモンドの偽物とは何があり得るのか?

ダイヤモンドの偽物(本物ではない)と言われる場合、一口にいってもいろいろなパターンがあり得ます。ただし、これらもそれぞれの宝石名をきちんと表示されている場合、非常に美しい素材です。特にCZや合成モアッサナイトはその分散の高さ(=煌めき)から好んでアクセサリーに使われます。

天然ダイヤモンドだが処理がされていて、質と価値が落ちているもの
→処理について公表しており見合った価格がついている場合は、特に問題ありません。

合成ダイヤモンド
→合成であることを明確にしており、見合った価格がついている場合は非常に有益な技術です。

ダイヤモンド以外の模造石
→ガラス、キュービックジルコニア(CZ)、合成モアサナイト

本物と偽物はどうやって見分ける?

天然ダイヤモンドの処理
天然ダイヤモンドの品質や価値を落としてしまう処理があります。フラクチャー充填、照射、レーザー処理、KMレーザー処理、高音高圧処理などがあります。各処理について見ていきましょう。

フラクチャー充填

ダイヤモンドの表面まで達するフラクチャー(割れ目)を誤魔化すための処理です。これはダイヤモンドを真空の状態に置き、もしくは高圧状態において溶けたガラスをダイヤモンドの中に引き込むことで充填します。この時のガラスは屈折率の高い(ダイヤモンドに近い)鉛ガラスが用いられます。これによってダイヤモンドのクラリティは向上しますが、永続性はなく、超音波洗浄機や酸などで損傷を受けてしまいます。そのため宝石としての価値は著しく下がります。

<見破り方>
ごく最近の処理の場合、肉眼でこの処理を見破ることはなかなかに難しいです。一方で、拡大した顕微鏡の下でピンクからパープルのフラッシュ、もしくはブルーからグリーンのフラッシュが見られます。また、ごく稀に処理の過程で閉じ込められた平らな気泡や、処理した箇所のひび、ざらざらとした表面などが見られることもあります。
非常に専門的な鑑別の場合は、X線写真を撮ることで鉛ガラスの存在を見つけることができます。

フラッシュの色についてもっと詳しく!

暗視野証明:ピンク〜パープルのフラシュ(顕微鏡で下から照らすが、直接光を当てずに迂回させた光で見る方法。内部のインクルージョンなどがよく見える)

明視野証明ブルーからグリーンのフラッシュ(顕微鏡で下から照らし、直接の光と迂回した光の両方で見る方法。表面や内部の状況がよく見える)

照射

放射線を照射することで、ダイヤモンドの色を変えることができます。色を薄くすることができませんが、黄色や赤、グリーンなどの色付きダイヤモンドを人工的に作れます。こちらも見破るのは非常に難しいため、特にカラーダイヤモンドは信用のおけるお店で買いましょう。

レーザー処理

ダイヤモンドの中にある黒色インクルージョンを取り除くために、レーザー光線を開けて直系0.02mm以下の非常に小さな穴をあけ、酸を用いて黒色インクルージョンを漂白します。ルースストーンでよく観察すれば、レーザーの穴とそこから続くレーザーホールを見つけることができますが、故意に隠すように台座にセットされていると見えにくいものです。

KMレーザー処理

レーザー処理のレーザーホールをわかりにくくし、天然の割れ目のように見せる処理です。レーザーによって黒色インクルージョンを熱し、その熱によって表面に至る圧力割れを起こさせます。その割れ目から黒色インクルージョンを漂白します。この場合は、まるで小さなフラクチャーがある天然未加工のダイヤモンドのように見えてしまいます。
割れがジグザグ模様や、スパイラル模様になっているため、10倍ルーペなどの観察で違和感に気づくのが重要です。

高音高圧処理

研究室レベルの機材を使って、高音高圧に晒すことで一部のダイヤモンドを無職にしたり、濃い黄色から黄色〜緑色にすることができます。こちらも見分けるのはとても難しいです。

合成ダイヤモンド
合成ダイヤモンドは1953年に初めて作られ、最初は工業用途でした。今でも最も硬い鉱物として、工業的にも使われている重要な合成石です。ただし合成であることを隠して消費者に販売などされる場合は、非常に注意が必要です。

まず、合成ダイヤモンドとはどのように作られるのでしょうか?
一般的にはベルト法とBARS法というものがあり、これらはどちらも高音高圧(7万気圧、1800度)によって作られます。

<見破り方>
正確には研究室レベルの機材が必要になりますが、携帯用のルーペやUVライトで合成であることが見分けられる場合もあります。例えば、金属溶媒やダスト、もしくは「パン屑情インクルージョン」と呼ばれる散った細かなインクルージョンが見られることがあります。色付きダイヤモンドの場合は、砂時計のような、もしくは十字のような形の色の帯が見えることがあり、これらは合成ダイヤモンドの指標です。他にも、LWUV(一般的なUVライト)と、SWUV(特殊な強いエネルギーのUVライト)を比べた時に、天然石はLWUVで比較的強く蛍光する一方で、合成石はSWUVにより強く反応を示します。この天然石と逆の反応も見分ける指標の一つになります。
また、質の悪い合成ダイヤモンドの場合は強力な磁石にくっ付きます。これは天然石には見られません。

ダイヤモンド以外の模造石
ダイヤモンドに似た無色の石を「ダイヤモンド」として騙す時、その無色の石をダイヤモンドの模造石と呼びます。似たような無色の石でダイヤモンドに似ているのは下記のような宝石があります。
※それぞれの宝石として売られている、扱われている場合はそれぞれが綺麗な宝石であり問題ありません

名称 種類 特徴
キュービックジルコニア 合成石 ラインテスト(*1)でわかる
合成モアッサナイト 合成石 電気電動計で反応あり。ダイヤモンドにはないため見分けられる。 ダブリング(*2)が見える
ガラス(ペーストとも) 合成石 気泡や脈理がルーペで見られる。硬度が5のため表面に傷が往々にして見られる。
ホワイトサファイア 天然石 ダイヤモンドは金剛光沢なのに対して、サファイアはガラス光沢と光沢が鈍い。 分散が低いのでファイアが見えない。
ホワイトジルコン 天然石 分散が高くとても似ているが、靭性が低いためよく欠けが見られる。 ダブリングが見える。
クォーツ 天然石 硬度が7と中程度のため傷が見られることが多い。 光沢がガラス光沢でダイヤモンドよりも鈍い。 分散が低いのでファイアが見えない。
合成ホワイトスピネル 合成石 分散が低いのでファイアが見えない。 SWUVで帯青〜帯緑白色になる (天然は一般的にさまざまな反応だがLWUVが強い)

*1ラインテスト:
白い紙の上に黒い線を一本引き、無色透明のダイヤモンドと思われる石を少し中心からずらしておきます。その時に、それがダイヤモンドであった場合は黒い線は見えません。ですがキュービックジルコニアであった場合には、黒い線が歪んで見えます。これによりキュービックジルコニアとダイヤモンドは簡単に見分けることができます。

↑ブリリアントカットされた無色透明の宝石











*2 ダブリング:
ルーペで宝石を見たときに、向こう側に見えるファセットエッジや、中に含まれるインクルージョンが二重に見える現象。複屈折量が高い宝石にだけ観察される。ジルコン、ペリドット、トルマリンなど。

まとめ

ダイヤモンドの見分け方、参考になりましたでしょうか。
高級店で見ている限りでは思いもよらないような、加工や、合成石、または類似石があるということをまず知っていただければと思います。お手元に小さなきらめく石があったら、ぜひ簡単にできるラインテストなどをやってみてください!

記事執筆者:Cotubee編集部

Cotubee編集部は様々なメンバーから成り立つメディアグループです。
会社経営者、様々な業界のコンサルタントなど事業経営の最先端で活躍するメンバーから、ヨガインストラクターやサロンオーナーなどの個人事業主業や、ママ業とライターを両立するメンバーなど、幅広い人材が集まるライティングチームのため、多様なトピックについてユーザー目線と事業目線の両視点からの理解によりメリット・デメリットを明確にする記事を執筆。

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